- 『万年筆って全部同じっぽいけど、何が違うの?』
- 『なんか予想と違って書きにくいんだけど…』
- 『結局どの万年筆がオススメなの?』
万年筆はボールペンやシャープペンと異なり、ペン毎に書き味が異なる筆記具です。
『自分はどんな書き味が好きなんだろう?』
今まで万年筆を使った事のない人は、考えたことのない悩みだと思います。
この記事ではそんな悩みを解決します。

今回は『万年筆の書き味の違いってなに?どれを選んだらいいの?』と考えるあなたに、
- 書き味が違うってどういうこと?なんで違うの?
- 結局どれを買えばいいの?
を、わかりやすく解説します。
この記事を最後まで読んでいくと、書き味の違いとその理由がわかります。
それぞれの書き味毎にオススメの万年筆も紹介しているので、すぐ試すことができますよ。
それでは、早速解説していきます。

書き味を作り出す要素がわかれば、使う前でもある程度予想が出来ます。
あなたに合った万年筆を探すためのお手伝いをさせてください。
万年筆の書き味から考える選び方は?
結論から言うと、万年筆の書き味は、たった2+1の要素で決まります。
- ペン先の字幅
- ペン先の硬さ
これに加えて『インクの粘度』を考えるだけなんです。
たった2+1の要素を知ることで、自分にピッタリな書き味を見つけることができます。

実は書き味はたった2+1ステップで決まるんです。
これであなたにピッタリの万年筆が見つかりそうです。
STEP1:ペン先の字幅

まず考えるのは、『ペン先の字幅』です。
なぜなら『書き味に1番影響する』から。
あなたにピッタリな最高の書き味のペンに出会うには、避けて通れないところです。

やっぱり自分の好きな書き心地の万年筆を愛用したいですよね。
具体的な選び方『どんな書き味が好みか』

『ペン先の字幅』を選ぶには、『どんな書き味が好みか』で考えましょう。
- カリカリした抵抗感のある書き味が好み
- スーッと滑らかな書き味が好み
カリカリした抵抗感のある書き味が好みの人は『細字』を。
スーッと滑らかな書き味が好みの人は『太字』がオススメです。
『どっちも好きなんだけど!』って人は『中字』を購入すれば、STEP 2次第でどちらにも対応できますよ。

『日本語をキレイに見せたい』という人は、抵抗感のある書き味を選ぶのがオススメ。
トメ・ハネ・ハライは、少し抵抗がある方が表現しやすいんです。
STEP2:ペン先の硬さ

次に考えるのは、『ペン先の硬さ』です。
なぜなら『使い勝手に影響する』から。
『なんか自分の使い方だと、使いにくいな…』なんてなったら残念ですよね。

ペン先の硬さが合っていないと、使い勝手が一気に悪化します…。
具体的なペン先の硬さの考え方『自分がよく使うシチュエーションを考える』

『ペン先の硬さ』を選ぶには、『自分が万年筆を使いたいシチュエーション』から考えましょう。
- 出先でササッとスピーディに使いたい
- 自宅でゆっくり落ち着いて使いたい
ササッと使いたい人は『硬めのペン先』を。
自宅でゆっくり使いたい人は『柔らかめのペン先』がオススメです。

硬いペン先はしなりがなく、筆圧や使い方に気をつかえないときにも、
ササッと使うことができます。
ペン先の硬さの判断方法
ペン先の硬さは、『ペン先を正面から見たときの形状』から考えます。
- 硬め ⇒ 丸みを帯びたペン先
- 柔らかめ ⇒ 平たいペン先
硬めのペンが欲しい人は『丸みを帯びたペン先』を。
柔らかめのペンが欲しい人は『平たいペン先』がオススメです。
【硬め=丸みを帯びたペン先】

【柔らかめ=平たいペン先】


左が硬いペン先。右が柔らかめのペン先です。
比べてみると、だいぶ違うカタチをしているのがわかりますね。
一般的には『ステンレス製より金製のペン先が柔らかい』と思われています。
ですが、万年筆はペン先の形状で硬さを判断する方が好ましいです。
なぜなら『金という素材の特性上、合金の配合比率により、硬さの調整が自由だから』です。
ペン先に使われる『14金』や『18金』は、純金に『銀や銅』などの別の金属を混ぜて作られています。
これにより強度を調整することが容易なので、『金=柔らかい』という理屈が通用しないんです。
書き味から考える『オススメの万年筆』
万年筆を100本以上使ってきた筆者が、書き味から考える『オススメの万年筆』を紹介します。
『あれ?インクの粘度は?』と感じる人もいますよね。
インクの粘度は、万年筆の書き味を『わずかに変化させる』だけなので、
基本は上の2ステップで考えていきましょう!

料理でいう『最後の隠し味』がインクの粘度なんです。
隠し味だけでは、そこまで大きく変化しないですよね。
『カリカリとした抵抗感のある書き味』のオススメ万年筆
カリカリ×硬め『ラミー サファリ』

いつでもどこでも安定して使えるのがサファリの魅力です。
毎年限定色が発売されるので、他の人とも被りづらいのがいいですね。
カリカリ×柔らかめ『パイロット エラボー』


エラボーを使うだけで少し文字が上手く見えるんだから不思議。
特に『ハライ』が表現しやすい万年筆だと感じています。
『スーッと滑らかな書き味』のオススメ万年筆
滑らか×硬め『ウォーターマン カレン』

よくカースケッチを描く為に使っていました。
すごいスピードでペンを動かしても、インク切れなく追従するカレンは恐ろしい…。
滑らか×柔らかめ『パイロット カスタム845』


書き味だけでない、トータルバランスの良さが魅力の万年筆です。
ボクが所有するのは細字ですが、そうとは思えない滑らかさがあります。
+1 STEP:インクの粘度

+1ステップ、最後は『インクの粘度』を考えましょう。
なぜなら『書き味をわずかに変化させる』から。

『えっ…インクで変わるの…』と思いますが、書き味の質が少し変わるだけです。
インクだけでは『カリカリ⇒スーッと滑る書き味』にはなりませんし、『スーッと滑る⇒カリカリと抵抗感のある書き味』にはなりません。
具体的なインクの粘度の選び方『基本的にはサラサラ系がオススメ』
『インクの粘度』を選ぶには、『インクの粘度のもたらす違い』で考えましょう。
インクの粘度は、ペン先へのインクの流入量を通じて、以下のように書き味に影響します。
インクの粘度 | ペン先へのインクの流入量 | 書き味への影響 |
---|---|---|
サラサラ系 | 多い | 滑りやすくなる |
中間 | 中間 | なし(基準) |
渋め | 少ない | 滑りづらくなる |
『ペン先の抵抗感が気になるんだけど…』という人は、『サラサラ系のインク』を。
『その万年筆らしい書き味がいい』という人は、『中間粘度のインク』がオススメです。

たくさんのインクがありますが、基本的にはサラサラ系のインクをオススメします。
『渋め系のインクはオススメしないの?』となりますが、あまりオススメしないのには理由があります。
なぜなら渋め系のインクは、『ペンを詰まらせて故障させるリスクが大きいから』です。
ですが、『耐水性のあるインク』などの特徴的なインクは、大体『渋め系』のインクに分類されます。
特徴を取るか、故障リスクを取るか、あなたの使い方と相談してみてください。

インクの美しさに魅了されてたくさんのインクを買い揃えましたが、
結局常用するのはサラサラ系インクばかりでした。
万年筆のメンテナンスについては、こちらの記事でまとめています。
補足説明:各インク粘度毎のオススメインクのご紹介
今回は、各粘度毎のオススメインクを少しだけご紹介します。
どのメーカーも豊富に用意している『青インク』でピックアップしました。
サラサラ系『ペリカン ロイヤルブルー』
サラサラ系のオススメインクは『ペリカン ロイヤルブルー』です。
多少の赤みが入ったような青インクで、名前の通り『ロイヤルな色味の青』が特徴。
サラサラしていて詰まりにくく、洗い流しやすい特性から、試筆用インクとしてもよく使われます。
中間粘度『パイロット 色彩雫 紺碧(こんぺき)』

中間粘度のオススメインクは『パイロット 色彩雫 紺碧(こんぺき)』です。
濃淡が良く出る青インクで、明るめの青インクですが、『深みも出せる二面性』を持っています。
濃淡が良く出る、インクフローのいい万年筆で使うと映えるインクです。
渋め系『セーラー万年筆 青墨』

渋め系のオススメインクは『セーラー万年筆 青墨』です。
緑味がかった青色が特徴で、他のインクにはない『耐水性』を持っています。
耐水性も魅力ですが、それ以前に色味がキレイなのがズルいんですよね。
比較的詰まりにくいインクだと思いますが、渋めのインクなのでシッカリと洗浄する必要があります。

まとめ
書き味はたったの2ステップで決まる!さあ、万年筆を使ってみよう!
- 書き味の基本はたった2ステップ!インク選びは隠し味。…ペン先の字幅と形状だけ考えればOK!大体の書き味はそこで決まる。後はインクを選んで使ってみよう!
- オススメのインクはサラサラ系!…ペリカン ロイヤルブルーは使いやすくて色もキレイ。比較的安価で入手できるので、ランニングコストも抑えられてGood!
今回は『書き味から考える万年筆の選び方』について解説しました。
万年筆は他の筆記具と異なり、ペン毎に書き味が異なります。
だからこそ、好きな書き味を理解することで、あなたにピッタリの万年筆が見つかります。
万年筆は使えば使うほど手になじむ筆記具です。
好きな書き味を『もっと好きな書き味』にするために、万年筆を使ってみませんか?

好きな書き味のペンを使うと、書く事が楽しくなります。
是非好きな書き味を見つけて、万年筆を楽しんでみてください。