この記事を読むと、カスタム845の良さがわかります。
カスタム845は、パイロットが作る、日本の伝統が詰まった万年筆です。
その理由を、日本大好き&カスタム845大好きなボクが、わかりやすく解説します。
それでは、みていきましょう。
カスタム845は、日本の伝統が詰まった万年筆だ
エボナイト軸を漆塗りした「芸術品」

カスタム845の何よりの特長は、その仕上げ。
「エボナイト」と呼ばれる天然樹脂に、「日本製の漆」を3層重ね塗りされています。
- エボナイト → 世界最古の人工樹脂。今はほとんど作られていない。
- 漆 → 国内で使用される漆の98%は海外産。日本産の漆は、もうほとんどない。
カスタム845は、これらの材料を贅沢に使って作られた「芸術品」でもある万年筆です。

装飾を派手にしたり、色鮮やかな樹脂を用いたりせず、
純日本的価値観で作られた、素敵な万年筆です。
ディテールを確認

軸を見てみると、ライトの反射のおかげで、表面がツヤツヤなのが分かります。
ツヤには奥行きも感じられ、樹脂仕上げの万年筆とは違うところですね。

ペン先は、18金のバイカラー仕上げです。
内側が島状にロジウムメッキされている、他社ではなかなか見ない仕様です。

キャップはシンプルながら品のある仕様になっています。
上下に配されるリングや漆のもたらすツヤで、控えめな装飾でも高級感を演出しています。
また、クリップの先端の玉が、パイロットの万年筆らしいポイントです。
カスタム845は、装飾ではなく「純粋な質感」で勝負を仕掛けている、実に日本らしい万年筆です。
カスタム845を購入した経緯
ボクがカスタム845を購入したのは、「国産万年筆のフラッグシップを使ってみたかったから」です。
購入当時に比較したのは、この3本。
- パイロット カスタム845
- エボナイト製 + 漆塗り仕上げ
- 18金ペン先
- セーラー キングプロフィットST
- 樹脂製 + 磨き仕上げ
- 21金ペン先
- プラチナ万年筆 出雲 溜め塗り
- エボナイト製 + 漆塗り仕上げ
- 18金ペン先
この中から、カスタム845を選んだのは以下の理由です。
- 「エボナイト + 漆塗り仕上げ」に惹かれた
- ペン先に適度な柔らかさがあった
- 首軸と胴軸に段差がなく、持ちやすい
上記の理由から、カスタム845を購入しました。
カスタム845の良いところ

- その①:安定して書ける
- その②:日本らしい趣のある万年筆
カスタム845の良いところを解説します。
その①:安定して書けるバランス感
カスタム845は、長時間安定して書き続けられる万年筆です。
- 軸が軽い+長い
- ペン先のしなりが適度
理由は2つ。それぞれ解説します。
1:軸が「軽く・長い」
カスタム845の軸は、「軽く・長い」です。
軸の長さは特筆すべきもので、キャップを外して筆記する際にも、ブレずに安定して使える長さになっています。

#3776センチュリーと比較してみると、ペン先付近を持った状態の違いは歴然。
カスタム845は、長さに余裕があるので、自分の好みの位置を持って使えます。

試しに、キャップをつけてペンの真ん中あたりを持っても、まだまだ余裕がありますね。

これだけ自由に持てる万年筆は、中々珍しいです。
万年筆の種類 | 軸の長さ(全長) | 重量 |
---|---|---|
パイロット カスタム845 | 147mm | 28g |
モンブラン 149 | 148mm | 32g |
ペリカン M1000 | 147mm | 34g |
それでいてカスタム845は、軸の長さから考えると、軸重が軽い部類です。
「安定感があるのに疲れない」
カスタム845は、そんな不思議なバランスをもつ万年筆です
2:ペン先のしなりが適度
カスタム845のペン先には、大型の18金ペン先が使われています。

このペン先の大きさは、「1万円台とは思えない大きさのペン先を持つ」#3776センチュリーより大きいものです。
くわえて、硬めのペン先ながらしなりもあるので、余分な筆圧を吸収してくれるんです。
過度なしなりではないので速記にも対応しており、どんな状況にも安心して使えます。

どちらかというと、実用的な部類の硬さです。
細めのペン先を選べば、手帳などで実用するのにも使えますよ。
これら2つの特徴から、カスタム845は安定して書くために生まれた万年筆だなと感じます。
その②:日本らしい趣ある万年筆

カスタム845には、日本らしい趣が詰まっています。
- 3層の漆塗りの軸
- 墨入れされたキャップリング
- さりげないメッキリングを配した天冠
全体的に、主張しすぎない高級感があります。
特に、重ね塗りされた漆の艶やかさは特筆もの。自社で漆職人を抱えているパイロットならでは。
他社にも漆塗りの万年筆はありますが、メーカーの量産品でこのクオリティは驚きです。

またデザイン以外でも、キャップ内側には傷防止フェルトが貼られており、キャップを尻軸にさしてつかっても傷がつきません。
ここまで丁寧に、細部まで配慮されている万年筆は、他にはまだ見たことがないです。

ちなみに、漆は英語で「JAPAN」と言うんですよ。
日本らしさを求めている人にはピッタリですね。
カスタム845の気になるところ

- その①:漆塗りなので、管理に気を使う必要がある
カスタム845にも、気になるところが1つだけあります。
その①:漆塗りなので、管理に気を使う必要がある

カスタム845には漆が使われているので、管理が少しだけシビアです。
特に紫外線には注意が必要で、漆の変質を招く原因に。
また、ゴムバンドもエボナイトが劣化する原因になるので、極力触れさせないのが理想です。

カスタム845は、持ってるだけで大変だね…。
なんか良い対策はないかな?

ボクは、同じくパイロットのペンサンブルに入れて持ち運んでいますが、ゴムバンドなどもなく、ペン同士がぶつかる心配もないのでオススメです。
かなり太めのペンにも対応しているので、カスタム845はもちろん、4色ボールペンなんかも入れられますよ。

カスタム845はこんな人にオススメ
- 日本らしい万年筆が欲しい人
- 国産最高峰に触れたい人
- 良質な実用品が欲しい人
カスタム845は、上記の人におすすめです。
ボクは「日本らしい万年筆が欲しい」と思って購入しただけなのですが、使えば使うほど良さが感じられたのが驚きでした。
特に表面の漆は素晴らしく、見ていて美しいツヤと、手に吸い付くような持ち心地が得られます。
カスタム845は、購入して後悔する事なし。ほかの万年筆で得られない良さがありますよ。

今では比較的高価な万年筆ながら、ガシガシ実用しています。
万年筆としてのバランスが素晴らしく、シッカリと実用品なんですよ。
競合する万年筆はこの3本
- その①:パイロット カスタムURUSHI
- その②:中屋万年筆 ポータブル
- その③:プラチナ万年筆 出雲 溜塗り
主に競合するのは、この3本です。
「エボナイト+漆塗り」を共通点として、選出しています。
その①:パイロット カスタムURUSHI
カスタム845より上位の、パイロットのフラッグシップ万年筆です。
845を一回り大きくしたイメージの万年筆ですが、まったく異なるのがペン先の柔らかさ。
カスタムURUSHIは、845とは異なる「趣味の万年筆としての立ち位置」を狙っており、非常に柔らかいペン先を採用しています。
ペン先が柔らかい分、ゆったりとペン先の柔らかさを楽しみつつ、味のある字が楽しめますよ。
軸も、とても太く大きいので、腰を据えて万年筆の書き味を楽しみたい人にオススメです。
その②:中屋万年筆 ポータブル
中屋万年筆。このメーカーが作る万年筆は、全て職人のハンドメイドです。
「ロング」や「ピッコロ」などと、長さなどでモデルが分けられており、中でも「ポータブル」が競合にあたります。
長さや太さはカスタム845に近いサイズで、少し高価ながらも、実用しやすい万年筆です。
モデルやペン先など、全てオーダーメイドなので、あなただけの万年筆をお願いできますよ。
その③:プラチナ万年筆 出雲 溜塗り
出雲は、プラチナ万年筆の技術を見せるために作られた万年筆です。
カスタム845や中屋のポータブルと大きく異なるのは、そのフォルム。
滑らかに太さが変化しており、まるで生き物のようにも見える万年筆です。
ペン先は18金ですが、かなりガチガチです。万年筆の大きさも、カスタム845より一回り大きくなっています。
この万年筆も、カスタムURUSHIの様に、腰を据えて使いたい人にオススメです。
まとめ:カスタム845は、日本の伝統が詰まった万年筆だ

今回は、パイロット カスタム845についてでした。
カスタム845は、エボナイトや漆などの手の込んだ素材を使いつつ、シッカリと実用出来る作りをしているのが魅力的な万年筆です。
もちろん決して安価ではないですが、万年筆は一生モノ。
漆は皮革製品と同じで、丁寧なメンテナンスをすれば、いつまでもキレイに使えます。
上質なモノをメンテナンスしながら使っていくオトナの世界に、あなたも踏み込んでみませんか?

カスタム845は、手の込んだ作りながらシッカリ使える実用万年筆です。
ちょっとお高いですが、日本の伝統が感じられる万年筆を使ってみませんか?