こんにちは、けいたろー通信のカクタケイ(@kakutakei)です。
ボクの職場のデスクは奥行き50cmほどの手狭な環境。ここにMacBook Pro 13インチとA4サイズのクアデルノを並べるとマウスを動かすスペースがほとんどなくなってしまうので、少し困っていました。

自宅では奥行き80cm、幅162cmのかなでもののデスクを使っているので、なおさら狭く感じます……。
そこで「狭いスペースでも動かさずに操作できるトラックボールならいいのでは」と気づき、ロジクール ERGO M575を購入して使い始めることにしました。

ロジクール ERGO M575は、エルゴノミクスに配慮された電池式のワイヤレストラックボール。マウスと違って本体を動かすことがないためスペースが必要なく、手を添えておくだけなので肩こりや腱鞘炎などのトラブルもありません。
ボクにとって初めてのトラックボールなので「操作が難しいのでは」と懸念していましたが、実際に使ってみると細かい操作も予想以上に行いやすく、「今まで避けていたのはもったいなかった」と感じるほどです。
というわけで今回のレビューでは、ロジクール ERGO M575の特徴や使ってみて感じたことについて初回していきます。
メーカー・品名 | ロジクール ERGO M575 |
色・型番 | グラファイト(M575GR) オフホワイト(M575OW) ブラック(M575S) |
大きさ・重量 | 134 × 100 × 48 mm 145g |
センサー | ロジクール アドバンス オプティカル トラッキング 公称値400dpi(最大2,000) |
ボタン | 5ボタン (左右クリックを含む) |
電池 | 単三乾電池 1本 最長20ヶ月(Bluetooth) 最長24ヶ月(USBレシーバー) |
接続タイプ | USBレシーバー Bluetooth (各1台ずつの接続) |
システム要件(Bluetooth) | Windows 10,11以降 macOS 10.15以降 iPadOS 14以降 Linux Chrome OS |
システム要件(USBレシーバー) | Windows 10,11以降 macOS 10.15以降 ChromeOS Linux |
保証期間 | グラファイト・オフホワイト:2年 ブラック:1年 |

ロジクール ERGO M575の外観

それではさっそくM575を開封していきます。色はグラファイト・オフホワイト・ブラックの3種類が用意されており、購入したのはデスクの他の製品に合わせたオフホワイトです。パッケージはロジクール製品らしいミントグリーンのものでした。


内容物はM575本体にリーフレット2枚だけといさぎよい内容。「めずらしくクイックスタートガイドがないな?」と思ったら、マウスが包んであった紙に記載されていました。

M575本体を取り出しました。本体は白いマット調の樹脂素材で、硬質な触り心地です。本体表面はラバー塗装などのされていないシンプルなものです。ボールはラメの入った水色で、全体のいいアクセントになっています。
余談ですが、ボクはこの白の高級感に惚れ込んでM575を選んだと言っても過言ではないほど。
パールが入っているようにも見えるのは、あくまでも表面の微細なシボ加工のおかげ。マウスホイールはラバー系の素材で覆われていますが、本体色との色ズレが全くないのも素晴らしいポイント。

プロダクトデザインを行なっていた筆者も、この高級感が樹脂やラバーそのものの成形色とシボでだけで表現されているのには、驚きを隠せませんでした。

表面には手を置いた時にわずかに通気性を確保してくれるような波状のデザインが描かれており、平凡になりがちなパームレスト部分にちょっとした表情があるのがオシャレなところ。

ボタンは左右クリックを含めて5ボタン。左クリックの脇にある2ボタンとホイール押し込みボタンの3ボタンは、専用のソフトウェア「Logi Options+」でカスタマイズできる仕様です。

ひっくり返して裏側をみてみると、底面にはたくさんのすべりどめや電源ボタンなどがレイアウトされています。最近のマウスは充電式も増えてきていますが、M575は電池式。左下のフタを開けると、駆動用の単三乾電池が1本入るようになっています。

右側にある小さな穴は、裏側からトラックボールを押し出すために開けられているもの。ボールやセンサーなどは定期的に掃除する必要があるので、簡単に外せるように小指くらいなら入る穴の径になっています。
ロジクール MX Master 3Sと比べてみる

M575はトラックボールなのでマウスとは異なる部分が多々あります。せっかくなので自宅で使っているエルゴノミクスマウス「ロジクール MX Master 3S」と比較してみます。


同じエルゴノミクスの観点を元にデザインされていますが、マウスとトラックボールの形状は似て異なるもの。これは親指だけを動かすだけで良いトラックボールと、しっかりと手で抱えながら動かさなくてはいけないマウスの性質の違いが理由です。

力のかけ方の違いでここまで違う形になるんですね。
面白いのは、正面や背面からみてみるとどちらも傾いている角度がとても似ていること。ロジクールが導き出した手首の自然な角度が、ちょうどこれくらいの角度なのがわかります。


真横から比べてみるとMX Master 3Sのほうが背が高く、少し山なりな形状をしているのがわかります。かたやM575は緩やかな丘のような形状をしており、手を置いているだけならM575のほうが負担が少なく感じます。
また、M575とMX Master 3Sではボタンの配置が異なります。MX Master 3Sを使っている時は親指を持てあましがちなので親指付近にボタンが集中してますが、M575では人差し指付近にボタンが集中しています。

どちらもカーソルを動かすためのデバイスですが、使い方が違えばそのデザインは全く異なるのが面白いですね。

ロジクール ERGO M575を使ってみて感じたこと・メリット
続いて、M575を使って感じたことやメリットを紹介します。
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親指だけで操作できるから腕が疲れない

M575を使っていて何より強く感じるのは、腕の疲れが全くないこと。過去にマウスの動かしすぎで腱鞘炎になったことはありませんが、肩こりとは大親友。ですがM575に変えてからは肩の重さも自然と減って楽になっていました。
ボール部分の動作は親指を軽くのせるだけでもカーソルが動いてしまうほど滑らかで軽いもの。思い通りに動かしたい時も親指に力を入れることはほとんどなく、動かしたい方向にスッと軽く指を動かすだけでOK。
「トラックボールはマウスと違って腕を動かす必要がないからラク」というのは知識として知っていたものの、「どうせそんなに差はないだろう」とタカを括っていたので、スグに変化に気づくほどの差があるのには驚きです。

冷静に考えてみると、机の上を滑らせているだけとはいえ、140gの物体を1日10時間以上動かしているのはなかなかの負担ですよね。
細かい操作も問題なし

M575はセンサーの精度が高く、極低速でボールを動かしてもカーソルが飛んでしまったり動かないなんてことがありません。なのでカーソルの細かい操作も問題なし。パソコン上の小さなボタンにも難なく対応できます。
多くのマウスは机の表面の材質によってはカーソルが飛んでしまったり操作できなかったりなんてこともありますが、M575ならそもそもそんな心配は無用。机がガタガタでも穴だらけでも関係ないので、いつでも最良のパフォーマンスが発揮できるのもポイントです。

底面に装着している滑り止めは、手を乗せずにボールだけ動かしても本体は全く動かないほど強力。安定した操作はお手のものです。
とはいえ、フォトショップやイラストレーターでパスを引いたり画像を編集するようなクリエイティブ用途やパソコンでのゲーム用途では、さすがにマウスのほうが1枚上手なシーンも。あくまで一般的な事務作業やブラウジングなどの用途には向いているという印象です。
狭いスペースでも気兼ねなく使える

M575はトラックボールなので、カーソルを動かすにはボールを動かすだけ。マウスと違って物理的なスペースが最低限でいいので、今ある手元のスペースを最大限有効活用しながら使えます。
そのスペース効率が輝くのは、環境が整えにくい職場やコワーキングスペース、カフェなどのパブリックな場所での作業時。手のひら1枚程度のスペースさえあれば問題なく置けるので、机上スペースが限られていても気兼ねなく使えます。
単三乾電池1本で最長24ヶ月のバッテリー持ち

M575は単三乾電池1本だけで最長24ヶ月も駆動する脅威のバッテリー持ちを実現。購入前は「充電式じゃなくて電池式か……」と気になりましたが、2年に1回しか電池交換をする必要がないなら、もはや気にする必要すらありません。
「充電式だったらもっと長期間使えるのでは……?」と感じたりもしますが、同じロジクールから発売されている上位機種「MX ERGO」のバッテリー持ちはたったの120日ほど。M575の1/4ほどしか持続しないんです。
MX ERGOは設定可能なボタンが多かったり、角度調整できたりとさまざまな点で上位機種らしさがありますが、純粋なバッテリー持ちだけで見ればM575の最長24ヶ月は比べものにならないほど優秀です。

電池交換を2年に1回だけでいいというのは、もはや「電池不要」と言われているような気さえしますね。
意外とコンパクトで持ち運びやすい

M575は手の自然な形状に合わせたエルゴノミクスマウスなので大きいと思いがちですが、意外とそのサイズはコンパクト。ゆるめの握りこぶし1個分ほどのサイズしかないので、気兼ねなくバッグに入れて持ち運べます。
使うスペースの広さにとらわれることもなく、電池がもし切れてしまってもコンビニなどで簡単に購入できる利便性はM575ならでは。専用のUSBレシーバーも本体に収納して持ち運べるので、小さくてもなくす心配なしと至れり尽くせりです。
とはいえ、M575にはクリックボタンやセンサーなどの繊細な部分が多いため、持ち運ぶには収納ケースを使うのが無難です。

アプリケーションごとにボタンの機能を設定できる

M575はLogi Options+という専用のソフトウェアをパソコンにインストールすることで、一部ボタンの操作をアプリケーションごとに設定可能。たとえばブラウザでは「進む・戻る」、フォトショップでは「切り取り・貼り付け」などといった感じ。
設定できるのは左クリック付近にある2つのボタンと、ホイールクリックの合計3ボタン。ロジクールの他フラッグシップマウスに比べれば少なくも感じますが、あまり多すぎても宝の持ち腐れになる可能性があるので十分だと感じます。

ロジクール ERGO M575の気になったところ・デメリット
最後に、M575を使っていて気になったところ・デメリットについて紹介します。
月1回のメンテナンスが必須

M575の滑らかで軽い操作感や精度の高さを維持するには、月1回ほどの定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスをサボるとボールやカーソルの動きに問題が出て使いにくくなります。
メンテナンスの方法自体はとてもカンタンで、背面の穴から小指などを差し込んでボールを外し、内側にあるセンサーとガイドボールを丁寧に掃除するだけ。あわせてボールも軽く拭きあげると、より効果的です。

購入して約1週間、「まだ大丈夫だろう」と思いつつボールを外したら既に汚れが付着していたので、できるだけこまめな清掃が大事かもしれません。
端末切り替えもできるが、マルチペアリングはできない

M575は2つの機器を切り替えて使えますが、その対象は専用のUSBレシーバーとBluetoothを各1台ずつと、少し限定的。Bluetooth2台を登録するマルチペアリングはできないので注意が必要です。
とりわけこの仕様で困るのは、USBレシーバーが物理的にささらない現行のMacBookやiPadなどのタブレット機器を使い分けている場合。2つのBluetooth機器を使い分けたい時には毎回ペアリングが必要になるので、M575を使いたい機器との接続方法をしっかりと前もって考えておく必要があります。

昨今はマルチペアリングが当たり前になりつつあるので、ちょっとだけこの仕様は残念です。
ブラック(M575S)のみ保証期間が短いので注意

M575には「グラファイト・オフホワイト・ブラック」の3色のカラーラインナップがありますが、ブラックのみ保証期間が1年と短く設定されています。その分実売価格もブラックが1番安くなっているので、保証期間と価格のトレードオフという印象です。
個人的な経験に基づく話ですが、マウスはクリックやホイールなどの可動部分が多いため、使っているうちに故障してしまうことがよくあります。実売価格に差があるとはいえ1,000円弱なので、できればグラファイトかオフホワイトから選んでおくと何かあった時に安心です。

ロジクールは保証期間内に故障が認められれば、修理ではなく代品を送ってくれます。ボクも数回お世話になっていて、無類の信頼を寄せています。

ロジクール ERGO M575はこんな人におすすめ
- 狭いスペースで使えるマウスを探している
- 慢性的な肩こりなどに悩まされている
- 色々な場所に持ち運んで使いたい
M575は、スペースが狭くてマウスが使いにくい人や、マウスを使っていて起きる慢性的な肩こりに悩まされている人に特におすすめです。
手のひら1枚分に満たないスペースさえあればM575が使えるので、自宅でもオフィスでもカフェでも場所を問わずに大活躍。机の表面に依存しないので、マウス以上に色々なところにもち運んで使いやすいのも魅力的です。
一般的な作業などでは困らないほど、小さなボタンを難なく押せるような細かい操作もできる精度・感度を誇りますが、クリエイティブやゲーム用途ではマウスに及ばない一面もあります。使いたい用途によってはM575ではなく、ロジクール MX Master 3Sのようなハイエンドマウスなどを検討するのがおすすめです。
まとめ:どこでも使えて疲れ知らずのトラックボール

M575を使い始めたことで、当初の目論見通り狭いスペースで操作がしやすくなり、作業効率が大幅に向上しました。意識していませんでしたが腕の疲労度も下がったため、せっかくなら自宅でも使おうかなと考えているところです。
また、充電を機にする必要がなくなったのも嬉しいポイント。今まで会社で使っていた初代MX Masterはバッテリーが相当劣化しており、2週間に1度は充電しないといけなかったので、少し面倒だったんです。
M575はトラックボールなのでとっつきにくさを感じますが、使えばすぐに慣れてそのメリットを存分に享受できる優秀なデバイスです。7,000円弱の実売価格を考えるとコスパ抜群なので、ぜひ試してみてください。
以上、カクタケイ(@kakutakei)でした。
