Google I/O 2023にて、Googleからフォルダブルスマートフォン「Pixel Fold」が発表されました。
以前からフォルダブルに興味があるので「Pixel Foldは買うぞ……!」という気持ちでいましたが、その気持ちが若干抑えられてしまう内容でした。
半年遅れのTensor G2、上下に広いベゼル、そして価格は25万円と超高額。まさか「先発品のGalaxy Z Fold4に勝っている部分がほぼないじゃないか」と思ったのは決してボクだけではないはず。

Tensor G2などはそこまで不満はないものの、予想だにしない国内価格に驚いてしまいました。

結局はPixel Foldを買う気でいるものの、「なぜわざわざGalaxy Z Fold 4(もしくは次期型)を買わずにPixel Foldを買うことにしたのか」を解説していきます。
同じようにPixel Foldを悩んでいる人も、ひとつ参考にしてみてください。

性能面ではGalaxy Z Foldに劣る

Pixel Foldの25万円という価格に割高感がある理由は、フォルダブルスマホの先発品、Galaxy Z Fold 4に比べてスペック面で劣っているのが理由。
公開されているスペックを比べてみると、Pixel Foldの方が「重く・スペックが低く・カメラがちょっと弱め」なのがわかります。

ずっと楽しみにしていましたが、「2023年に出た最新のスマホ、しかも25万円……」と考えると、ちょっと控えめだなと素直に感じてしまいました。
Google Pixel Fold | Samsung GALAXY Z Fold 4 | |
---|---|---|
サイズ (閉じた時) | 139.7 × 79.5 × 12.1(mm) | 155.1 × 67.1 × 15.8(mm) |
サイズ (開いた時) | 139.7 × 158.7 × 5.8(mm) | 155.1 × 130.1 × 6.3(mm) |
画面サイズ (閉じた時) | 5.8インチ(17.4:9) 2,092 × 1,080 | 6.2インチ(23.1:9) 2,316 × 904 |
画面サイズ (開いた時) | 7.6インチ(6:5) 2,208 × 1,840 | 7.6インチ(21.6:18) 2,176 × 1,812 |
重さ | 283g | 263g |
チップ | Google Tensor G2 メモリ12GB | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1 メモリ12GB |
カメラ | 広角:48MP(画角82°) 超広角:10.8MP(画角121.1°) 望遠:10.8MP(光学5倍) | 広角:50MP(画角85°) 超広角:12MP(画角123°) 望遠:10MP(光学3倍) |
その他の特徴 | ボケ補正 消しゴムマジックなど | S Pen対応 |
価格 | Pixel Store:253,000円 | ドコモ:249,700円 au:249,960円 |
発売日 | 2023年7月中旬 (7月13日 or 7月20日の説あり) | 2022年9月29日 |
特にネックなのがチップ。
Pixel Foldは2022年10月ごろに発売されたPixel 7/7 Proと同じTensor G2チップを採用していますが、これは当時から「ミドルハイくらいのスペックしかない」と言われていました。
かたや2022年9月に発売されたGalaxy Z Foldは当時最新のSnapdragon 8 Gen 1チップを搭載。もちろんハイエンドのスペックになっています。
この2つのチップをベンチマークテストで比べてみるとその差は一目瞭然。
Pixel FoldのTensor G2は80万点前後なのに対して、Galaxy Z Fold 4のSnapdragon 8 Gen 1は100万点前後となっており、大きく引き離されてしまっているんです。


Galaxy Z Fold 4はそろそろ後継機のZ Fold 5(仮)が出ると言われており、おそらくチップもより新しいSnapdragon 8 Gen 2になると言われています。
「あくまで限界性能を測るベンチマーク上の話で、実際はそこまで変わらないでしょ?」と思いますが、そのスペックを活かすかつ身近にあるのがスマホのソシャゲ。最近は3DアクションやFPSなども増えてきましたよね。

同じTensor G2を搭載するPixel 7でヘビー級と名高い3Dゲーム「原神」をプレイしてみると、「中」あたりの設定ですら引っかかりがあることも多く、少なくともゲーム機としてのポテンシャルは低めだと感じています。

Tensor G2の限界スペックの低さを知っているからこそ、価格を見て二の足を踏んでしまうんですよね。


さらにはカメラも画素数では微妙に劣っているというのもちょっと気になるところ。ただ、Pixelシリーズのカメラはソフトウェアでの補正がかなり優秀なので、スペック以上の良い写真が取れるのも事実。
実際に同じ場所で写真を撮り比べてみても、色の出方やぱっと見の見栄えには差があるものの、甲乙つけづらい写真が撮れるんですよね。
これらチップやカメラといった現代のスマートフォンに求められる1番大切な部分のスペックだけで考えると、Pixel Foldは若干周回遅れのような印象が否めず、「成熟しているGalaxy Z Fold 4を買えばいいのでは?」と感じてしまうんですよね。

実用的であれば十分だと思いますが、やはり25万円出すとなると全てに妥協したくないなと感じてしまうのが人のサガだと思います。
それでも今までZ Foldを買わなかった理由は価格だった
以前からフォルダブルスマートフォンを気になっていたのなら、Galaxy Z Fold 4を買っておけば良いじゃないかという話にもなりますが、今までZ Fold 4を買っていなかったのはその価格が理由。
ぶっちゃけるとZ Fold 4の国内キャリア版の価格「25万円」が、割高に感じてしまっていたんですよね。
Z Fold 4が発売された当時、海外SIMフリー版の価格はExpansysにて約20万円。技適やFelicaがなかったり、故障時の保証が難しかったりというハードルはあるものの、「キャリア版は+5万円か…」と感じてしまっていました。

中古も検討しましたが、中古スマホの大手イオシスでも在庫はほとんどなく、国内でどれくらい売れているのかが心配になるほどです。
Pixel Foldは噂の段階からは「18万円前後になるのではないか?」と言われていたこともあり、「後発品かつリファレンスなので抑え気味の価格で出てくれるのでは」と淡い期待を持っていました。
ですが蓋を開けてみればその価格はZ Fold 4と同じ25万円。予約時のキャッシュバックの52,000円があるので実質価格は20万円ほど。まさかここまで高いとは思っていませんでした。
ただ、日本に先行して発売される北米では下取り価格を高くするキャンペーンも行っているため、もし日本でも同様のキャンペーンが行われれば、価格のハードルはグンと下がるかもしれません。

キャンペーン次第ですが、定価はPixel FoldもGalaxy Z Fold 4も変わらずと言う結果に。スペックも価格も優れているならZ Fold 4を買えば良いじゃないとなるんですよね。
それでもPixel Foldを買いたいのは、ディスプレイの縦横比が理由
それでもGalaxy Z Fold 4ではなくPixel Foldの方がいいと思うのは、ディスプレイの縦横比が理由。
フォルダブルスマートフォンは開かずに使うことも想定されるので、頻繁に触りがちになりそうな外側のディスプレイが縦長すぎないPixel Foldのほうが好みなんですよね。

もちろん開いた時の内側のディスプレイも、Pixel Foldは横に広めです。


Pixel FoldとZ Fold 4を比べてみると、Z Fold 4の縦長さがかなり目立ちますよね……。

Z Fold 4もZ Fold 3に比べると縦横比率は改善されましたが、依然、縦に長い設計になっています。
ブラウザやゲームなどに限らず、スマホもタブレットも基本的にはディスプレイの幅を基準として表示されるようになっているので、縦長すぎると画像なども自然と小さくなりがち。どうしても見づらくなってしまうんですよね。
その点、Pixel Foldはもとから横が広い分、自然と大きくコンテンツが表示されるようになります。
大きく表示された方が肩の力を抜いてリラックスしながら眺めているのもラクですし、大きく表示されたものをガッツリ注視していればその周囲のわずかな部分しか見えなくなり、全体像が見えている必要もありません。

ただ、横に広いPixel Foldは片手持ちしにくいのがネック。閉じた状態でもiPhoneのPro Maxサイズより幅が広いので、基本的には両手持ちかスマホリングを使わないと安定して保持し続けるのが難しくなっています。
逆に、縦に長いZ Fold 4は片手持ちしやすいのでコンテンツの表示サイズより持ち運びを気にするならアリ。ただ、外側のディスプレイで画像を表示するとかなり小さくなってしまうデメリットもあります。
Z Fold 4の縦横比は画面分割をしたときにも影響が出る

Pixel FoldもGalaxy Z Fold 4も、大画面を活かすために画面分割に対応していますが、Z Fold 4の縦に長い比率は、画面分割をした時にも影響が出るのがネックなところ。
Pixel Foldは画面分割してもちょっと縦に短い普通のスマホくらいの比率ですが、Z Fold 4は左右に2分割すると細くなってしまうんですよね。


また、どちらも折った状態で使えるんですが、折っても縦横比が一般的なPixel Foldのほうが使いやすいとのコメントもメディア関係者からは出ていたりします。
また、Pixel Foldは画面の縦横比率が最近のスマートフォンに多いとほぼ同等の17.4:9、開いたときは6:5となっている。
カメラのファインダーやアプリが画面いっぱいに表示されるので使いやすい。その点、Galaxy Z Fold4は閉じたときに細長いため、アプリを開いたときなどに無駄なスペースが広かったりして、もったいない感じがするのだった。
週刊アスキー – 「グーグル高額スマホ「Pixel Fold」25万3000円で日本市場に挑む、現地取材で見えた真価」

実際にマルチタスクする機会はそこまで多くなさそうですが、アプリがフォルダブルに対応した時には大きな差が出そうな部分です。
だからボクはPixel Foldが欲しい

なのでボクは主にディスプレイの縦横比が大きな理由になり、「Pixel Foldが欲しい」とひしひしと感じています。
もちろんスペック的な欠点はありますが、ゲーミングPCやiPad Air(第5世代)を持っていることもあり、スマホでゲームするのは稀。一般的な用途でスムーズに動いてくれれば十分なんです。
また、Googleが販売すると言うこともあり、故障時にも安心して対応が受けられそうなのも好印象。
リファレンス端末ということもあり、Pixel Foldを基準にAndroid OSがフォルダブルスマートフォンに最適化されていくのも気になるところです。

絶対的に25万円という価格は高いですが、スマホをこれ以上大きくせずに大画面化するにはフォルダブルが現状の最適解。8インチ弱の大画面がポケットに収まるなんて、ある種、夢のような話。
今後5年〜10年というピッチにはなりますが、おそらくこれがスタンダードになるだろうと考えると、今のうちに未来にふれておくのも面白いのかなと思います。

と、強がりつつ、いまは必死に金策中。なんとかPixel Foldを買えるように頑張ります。
以上、カクタケイ(@kakutakei)でした。
